サムサムネタが続いたので、さらに寒い系の本で攻めます。
ご存知の方も多いかもしれませんが「エンデュアランス号 大漂流」です。
最近文庫化されておりました。
20世紀初頭、南極大陸横断を目指したイギリスの探検隊が、大陸に辿り着く前に遭難。それから約2年をかけてこの絶望的な氷の海から生還する。しかも28人の隊員全員が!
隊長であるシャクルトンの不屈の精神=エンデュアランス、気配りとユーモアのセンス。これこそがリーダーシップでしょう。
どんなに絶望的な状況でも希望を捨てさせない。しかしシャクルトンはどんな魔法を使ったのでしょうか!?
良く言われる事ですが現代とは違い、高性能な衣服や調理器具、GPSも無い時代ですからねー。
スコットやアムンゼンの南極探検のエピソードは学校でも習いますが、このシャクルトン隊の無冠の偉業こそ知られるべきではないでしょうか。何度も南極点を目指すも、一度も到達していません。
エピローグで紹介されるある探険家の言葉
「科学的な発見という点ではスコットに、旅のすばやさと効率の良さについてはアムンゼンに、しかし、危険がおそいかかり希望を失ったその瞬間には、シャクルトン、わたしはあなたの前にひざまずき、祈りをささげます」
南極では他のどの隊員よりもタフで、これだけの苦境から生還したシャクルトンですが、イギリスでの私生活は結構ダメダメだったようです。様々な事業に手を出し失敗の連続。借金苦。イイ女がいればフラフラ。それがひとたび南極を目指すとなれば、資金を回りの金持ちや企業からかき集めて飛び出すイケイケぶり。この対比がなんだかオモシロカナシくて良いじゃないですか!
奥様のお言葉
「鷲を鳥かごにつなぎとめておく事などできないのです」
是非一読をおすすめします。元気が出る一冊。一気読み間違いなし!
著:エリザベス・コーディー・キメル
訳:千葉茂樹
光文社 知恵の森文庫