人力旅専門店 SOUTHERN WORKS

コラム

カヤック旅行に持っていく本

ひとりごとテツの小部屋

2015年07月18日

本日からの壱岐水道横断ツアーは台風の影響で中止しました。明日から2日間の沿岸キャンプツアーに切り替えました。
なので本日は店におります。

せっかく時間ができたのでたま~にお客様から聞かれる「なんか面白い本ない?」というご質問にお答え?
通常日数よりすこし少ないくらいの本を持っていきます。長期になるとこれはかなり膨大です。実際にはその半分は読まずに持ち帰ることの方が多いです。焚き火して酒を飲み、気持ちの良い場所に張ったテントで寝るのですからスコンと寝てしまい、本など必要ない!とも言えますが私の場合もう慣習で寝る前に少しでも本を開かないと落ち着かなく・・・。しかしほとんどの場合、ヘッドランプ点けっ放しで朝を迎えます。なのでヘッドランプの予備電池は欠かせない装備です。ウトウトしながら「もうダメ・・・あ~ライト消さないと・・・」と片手に文庫本を握りしめたまま眠りに落ちていくのが最高の快感なのです。あ、最近はエアーランタンの活用でかなり助かっています。

先日の甑への旅に持っていった本から。リピートで何回も読んでいる伊丹十三の「女たちよ!」です。
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何度も旅に持っていくのでボロボロになってしまい、これは2冊目か3冊目でしょうか。スパゲティのアルデンテを日本に広めた、なんてことで有名な本ですが、ほかにもキュウリのサンドウィッチについて、マッチの点け方、サラダについて、スポーツカーの正しい運転方法、だのファッションについてや車についても。「シャネルの縫い取りのついた服を着る女は馬鹿だ」だの「私は高校野球が実に吐き気をおよぼす程嫌いです」だの言いたい放題。これがまた上から目線でキザで、細かく、実にしつこい。でも現代でこんな書き方、言い方する人知りません。しかし鼻持ちならない口調ながら、ギリギリの線での愛嬌があります。伊丹十三は実際スターでありましたから、あえてちゃんとスターらしく振舞っていたのだと思います。無駄で、野暮なものは廃する生活。自分の嗜好性を前面に押し出した生き方。これらは現代では当たり前に語られる事ですが、この当時(昭和40年代)ではかなり尖がった思想だったでしょう。
「車になど興味はなく、あんなものは運搬の具」と言いつつ伊丹が乗ってるのはMGTFにロータスエラン。MGでは「イギリス人はなぜ油の漏る車を作るのか」を説明し、ロータスは「ガレージで埃を被るまで待ってから乗る」。ああ、キザでおしゃれ!
この本が刊行されたとき伊丹は確か35,6歳のはずです。いやはや自分が恥ずかしくなりますわな。
自身による装丁画と挿絵も素晴らしいです。

最後に私が一番印象をもったファッションに関しての一文。

「それにだ、個性なんていうものをだよ、既製服屋や洋品店で一万円や二万円の値段で売っているものかどうか、暇な時にでもとっくり考えてみるんだな」


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